提案書と一言でいっても、商品・サービス、提案先などによって、作り方や内容も変わってきます。自社の商品やサービスを説明するものが、提案書ではありません。相手の課題やニーズを喚起し、把握し、それに対して自社の商品やサービスが適しているということ。料金も納得感があること。相手先の関係者(上司や部下や決裁プロセス)を説得してまでも、導入・購入したいと思ってもらわなくてはいけません。受注につながる提案書はどういう観点から考え、どういう構成で作ればいいのかをまとめました。課題・ニーズの喚起・把握から料金説明まで。提案書で押さえるべき8つの構成自社の商品・サービスを提案先に契約してもらうためには、どういうストーリーにするべきかを考えて、資料の構成を考える必要があります。提案書の構成として、主に以下の8つの内容と順番で構成するのがおすすめです。①表紙商品やサービス名だけでなく、相手にとってどういうベネフィットがある提案なのかが分かるようなタイトルにするなどしましょう。 ②会社概要特に、新規で取引を始める場合、どういった会社なのかを気にされる方も多くいます。会社概要では、ビジョンなどの会社のポジションだけでなく、実績や既存の取引先などの信頼性を示すような情報も盛り込みましょう。③課題・ニーズの喚起・把握急に商品・サービスの紹介をするのではなく、「こんなお困りごとありませんか?」や「御社と同じような業種・業態の企業は最近こういう課題感をお持ちの方が多いです」や「今後のマーケットがこういうふうに変化していくと言われています」など、課題やニーズを喚起・把握するページを用意しましょう。実際の商談シーンでは、このタイミングで相手の現状や課題感を把握するためのヒアリングができると良いでしょう。④原因の深堀り・特定③の課題にがどのような原因で発生しているのか、深堀りと特定を行います。また、原因が複数あるときは、その優先順位の認識まで合わせられると良いでしょう。⑤解決策としてのサービス・商品説明③、④で把握した課題とその原因への解決策として、自社の商品やサービスの説明を行います。⑥料金説明料金は、相手がそのサービス・商品の価値を認識した後に、提示するのがベターです。なぜなら、価値を感じられていないと、そもそもいくらならお金を払う価値があるのかを、感覚的にも定量的にも計算できないからです。料金説明では、ただ料金を説明するのではなく、「御社の事業規模や人数、既存の業務と比較してこのくらい効果が見込めます」など相手にとって具体的にどのくらいの費用対効果が生まれるのかを説明できるとなお良いです。⑦事例紹介実際に商品・サービスを導入or利用している事例を紹介します。同じような課題を抱えている企業がどのような効果や価値を感じているのか、どういう結果が生まれているのかなどを伝えましょう。⑧補足説明よくある質問への回答や、競合他社と比較してこういった点で優れているなどの補足説明を行います。⑨導入後・購入後の流れ・イメージ商品・サービスの導入・購入後のスケジュール感や運用のためのオンボーディングの流れなどを説明します。提案書の各ページの目的を明確にしよう。相手の行動変容を求める7つのポイント。提案書を作成するときには、資料の各ページの目的を明確にすることが重要です。このページでは、相手に何を伝え、相手にどう感じどう考えもらい、どう行動してほしいのか。ただ、知識情報を伝えるだけではなく、意思決定を後押ししたり、認識を形成・変容したりと、大きく7つのポイントがあります。1.新しい知識・考え方を知ってもらう新しい概念や、サービスのコンセプトや説明、統計データなど、相手に新しい知識や考え方を知ってもらうのを目的にしたページです。そのため、分かりやすい図解や、理解しやすい言葉での記述が必要とされます。2.曖昧な課題やニーズを具体的にする何かを説明するのではなく、相手が潜在的・顕在的に感じている課題やニーズを具体化したり、数ある課題感の中での優先順位をつけたりすることを目的にしたページです。3.不安や懸念点を払拭する商品・サービスを提案するときに、各社が同じように感じる不安や懸念点がある場合、それを払拭するための説明を目的にしたページです。例えば、「使いこなせるか分からない」という懸念が多い場合には、「実際に、導入先ではこのくらいの利用率になっているので心配ありません」や「無料期間を用意しています」などです。4.全体感の認識を持ってもらう例えば、「御社の3ヵ年計画の中で、まずはこの部分から取り組んで、こういうふうに進めていきましょう。そのために、この商品・サービスが必要です」といったように、大きな全体感の中で今回の取り組みがどのような立ち位置にあるのか、どのような形で貢献するのかといったことを認識してもらったり、商品・サービス導入後の直近ではなく、将来的にどのように活用が進化し、効果を実感していけるのかなどのロードマップを認識してもらうのが目的の内容です。5.信頼や信用をしてもらう導入や利用の実績資料、類似顧客の事例、大手・有名企業との取引、マーケットシェアなど信頼や信用を目的にした内容です。6.購入後、うまくいくイメージを持ってもらう実際に、導入・購入したときに、効果が出るとイメージしてもらうことを目的にした内容です。例えば、カスタマイズしたデモ画面などがあります。7.納得感を持ってもらう特に料金など、解決する課題と商品・サービスの費用対効果として納得感をもってもらうことを目的とした内容です。例えば、「品質を重視しない場合の外注費として考えると割高かもしれませんが、品質が担保されることと、例えば人を雇って行うのと比較すると割安なんです」などです。先ほどの構成にあてはめると、以下のようになります。①表紙②会社概要(5)③課題・ニーズの喚起・把握(2)④原因の深堀り・特定(2)⑤サービス説明(1、2、3、7)⑥料金説明(7)⑦事例紹介(5,2)⑧補足説明(3,7)※よくある質問への回答や、競合比較など⑨導入後、購入後の流れ・イメージ(4,6)提案書がどのように使われるかを想定しよう。提案書作成時に考慮しなくてはいけないその他のポイント。提案書を誰に見られるかを意識する提案書は、提案した相手だけが見るわけではなく、その他の関係者が見ることがよくあります。契約に至るまでに、誰の目に触れるかを意識して、提案書を用意する必要があります。「上司に相談します」とか「実際に使うのは担当なので、担当に聞いてみます」など言われることもよくあると思います。人によって重視するポイントが違ったりするので、誰に見られるかを意識して、ポイントを押さえられるようにしましょう。提案書をどんな媒体で見られるかを意識するパソコンで見られることを想定するなら、横向きの方が一般的には見やすいですし、紙の場合は縦向きでもよいかもしれません。また、文字の大きさも、紙であれば見やすいが、ディスプレイだと拡大表示しないと見にくいといったこともあります。