はじめにセールスに携わっていると「SPIN営業術」という言葉を聞く機会も多いと思います。この記事では、SPIN営業術の概要と、なぜSPIN営業術が大型商談にとって効果的なのかを記載していきます。なお、こちらの記事の内容に関しては、”大型商談を成約に導く「SPIN」営業術ニール・ラッカム著海と月社出版(2009年)”の内容を参考にしています。この記事はこんな方におすすめです。・SPIN営業術の概要を知りたい・SPIN営業術がなぜ効果があるのかサッと知りたいまた、以下のような方には内容として物足りない記事かと思います。・SPIN営業術のトーク事例を知りたい・SPIN営業術を既に知っている上記のような方は別の記事をご覧頂ければと思います。SPIN営業術とはSPIN営業術とは行動心理学の研究者であったニール・ラッカムさんが考案した営業手法です。12年かけて3万5,000件以上の商談を分析し考案された営業手法このSPIN営業術のすごいところは、12年という時間をかけて、3万5,000件以上の商談を分析し考案された手法だということです。よくある営業手法と言えば、トップセールスの成功体験を元にした経験値での営業手法が多く、なかなか自分の営業に取り入れることが難しい内容のものが多いです。そのような中で、SPIN営業術はフォーマットが確立されているため再現性が非常に高く、様々な企業でも実際に導入されており結果も伴っている営業手法です。このようなSPIN営業術ですが実際にどのようなものなのでしょうか。SPIN営業術の概要SPIN営業術は4つの質問を使い、お客様の潜在ニーズを顕在化させて大型商談の成約率をあげていくための営業手法です。SPIN営業術は以下の4つの質問の頭文字をとったものです。・Situation Question(状況質問)・Problem Question(問題質問)・Implication Question(示唆質問)・Need-payoff Question(解決質問)SPIN営業術に関しては、SPINの語順通りに それぞれの質問を使用していきます。まず最初に、お客様の状況の把握を行い(Situation Question)、次にその状況から派生する問題をヒアリングしていきます(Problem Question)。この状況質問と問題質問を行うことで、お客様の潜在ニーズが出揃います。この潜在ニーズを顕在ニーズへ転換することが重要です。※なぜ重要なのかは後ほどご説明します。潜在ニーズを顕在ニーズに変えるため手段として示唆質問を使います。(例としては「〇〇の問題があると、××のコストも大きくなりませんか?」など)示唆質問を行い、お客様が「大したことがない」と思っていた問題を「早急に対応すべき問題だ」という問題に危機感を変えていきます。お客様の「早急に対応すべき問題」に対して、「もし〇〇のような解決策があればお役に立ちますか?」と解決質問を行うことによって、最終的に潜在ニーズだったものを顕在ニーズに変えていく手法がSPIN営業術です。ここではSPIN営業術の詳細な内容は割愛しますので、もっと詳しい内容を知りたい方は是非書籍を購入してみてください。なぜSPIN営業術が効果的なのか営業には様々な営業手法やがありますが、小型商談と大型商談では身に付けるべき営業手法が異なります。そのため、大型商談には大型商談に適した営業手法を行いましょうということがSPIN営業の考案者であるニール・ラッカムさんが提唱している内容です。なぜ、大型商談と小型商談で効果的な営業手法が異なるのでしょうか。それは、大型商談は以下ような点が特徴としてあるためです。大型商談の特徴・意思決定者が複数いる・検討期間が長期間に及ぶ小型商談で効果的なセールステクニックが大型商談ではあまり効果がない上記のような特徴があるため、小型商談では効果的な以下のようなセールスのテクニックが、大型商談ではあまり効果が見込めません。・巧妙な売り文句巧妙な売り文句はプレゼンを聞いたその日には購買意欲高めるために効果的です。しかし、日数が経過すると、巧妙な売り文句の効果次第になくなり購買意欲が低下するという結果が出ています。大型商談の場合、検討期間が長期間に及ぶため、巧妙な売り文句を行っても日数の経過と共に購買意欲が低下します。そのため、巧妙な売り文句は効果的な営業手法とは言えません。・潜在ニーズの数小型商談では効果的な潜在ニーズの発掘を行い、それを解消するための提案を行うと効果があります。しかし、大型商談の場合、以下の図のように潜在ニーズの数も潜在ニーズに対して提案を行うことも商談の成約にそれほど効果的ではありません。この他にも小型商談では効果的な、オープンクエスションやクローズクエスション、クロージングの使用などが大型商談ではほとんど効果がないことが”大型商談を成約に導く「SPIN」営業術ニール・ラッカム著海と月社出版(2009年)”では示されています。以上のような理由から大型商談は小型商談と異なるため、大型商談専用の営業手法を身に付ける必要があります。大型商談で重要な点は潜在ニーズの数ではなく顕在ニーズの数では、大型商談を成功させるためには何が重要なのでしょうか。利益の訴求など営業として行うべきことありますが、中でも顕在ニーズの数が大型商談を成功させる鍵になります。図のように、顕在ニーズの数多い=成功の確率が高いということになるため、大型商談では顕在のニーズをいかに作るかが重要になります。そのような顕在ニーズを作るための営業手法がSPIN営業術です。潜在ニーズを顕在ニーズにするためにはSPIN営業術が有効最初にお話ししたようにSPIN営業術は、最初に状況質問や問題質問を行い潜在ニーズを見つけます。次に示唆質問と解決質問を使用し、潜在ニーズを顕在ニーズに変えていきます。このように、大型商談の成功要因である顕在ニーズを生成することができるため、SPIN営業術は大型商談で有効な営業手法ということが言えます。まとめ・SPIN営業術は「状況」「問題」「示唆」「解決」の4つの質問を順に使用する営業手法・大型商談の成功要因は顕在ニーズの数(ニーズの大きさ)・SPINの質問事項を駆使して、潜在ニーズを発掘し、顕在ニーズへと変換していくという内容になります。