はじめに働き方改革の影響もあり、「生産性」という言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。今回の記事では、営業生産性について触れていきます。記事の前半では、営業生産性とは何かなぜ営業生産性を高める必要があるのか、営業生産性を上げるための手順を順にお伝えします。後半では、営業生産性向上の施策の一つとしての情報共有をご紹介します。営業生産性とは営業生産性の式は以下のようなものになります。営業生産性 = アウトプット ÷ インプット式からもわかるように、インプットに対してどれだけのアウトプットを生み出せたかが営業生産性になります。そのため、営業生産性を上げるためにはインプットを減らす、またはアウトプットを増やすということが考えられます。インプット、アウトプットどちらに焦点を当てるかで実行する施策が異なります。例えば、インプットを減らす場合であれば、コストカットなどの業務効率化が代表的な施策になります。一方で、アウトプットを増やす場合であれば業務効率化だけでは難しいため、ツールなどに投資を行いアウトプットの量を上げる必要があるでしょう。なぜ営業生産性を高める必要があるのか?営業生産性を高めることが必要な理由は、以下の内容が代表的です。働き方改革の影響働き方改革が施行されたことにより、残業時間の上限が以前に比べて減少しました。働き方改革を実行するためには、営業生産性を高め残業時間を短くする必要あります。労働人口の減少働き方改革の話とも繋がりますが、少子高齢化が進み、日本は労働人口が減少していきます。人材の確保の難易度が上がるため、少ない人数でこれまで以上の成果出す仕組みを作ることが急務になりつつあります。国際競争力の観点からグローバル化に伴い、世界中の企業との競争が激しくなることも予想されます。そのような中で、日本生産性本部では日本の生産性を以下のように述べられています。「OECDデータに基づく2018年の日本の時間当たり労働生産性は46.8ドル(4,744円)で、OECD加盟36カ国中21位でした。日本の労働生産性はOECDのなかでも低い順位になっています。」上記のように、OECDに加盟している国々と比べ、日本は低い生産性であるため、将来の国際的な競争に備え生産性向上に取り組む必要があります。テレワークなど働く環境の変化テレワーク導入により、これまでと営業の仕方やマネジメントが変わってきているという組織もあると思います。テレワーク環境下では、オフィスとは異なり様々な制約があるため、今までのやり方では営業生産性が下がってしまう場合もあります。そのため、テレワーク環境下に移行した営業組織は、新しい営業方法や組織運営を模索し営業生産性を高めていく必要があるでしょう。営業生産性を上げるために他社の成功事例をそのまま転用しても、施策が自社に噛み合っていなければ自社の営業の生産性はなかなか上がりません。そのため、ここでは営業生産性を高めるため、施策を決定するまでの手順をご紹介します。①目的を決める最初にお伝えしたように、営業生産性の向上はアウトプット/インプットのどちらにフォーカスするかで施策の内容が変わります。そのためまずは、なぜ営業生産性を高めるのか目的を決めましょう。②業務の棚卸しを行う目的の設定後、次はその目的に沿った業務の棚卸しを行います。例えばインプットのコストを減らすのであれば、営業担当者が業務ごとにかけている時間を明確にする。アウトプットを増加させるのであれば、営業のプロセスごとにどこに歩留まりがあるのかを分析し、その歩留まりを解消するためのツールや施策を導入するなどになります。③施策を立案する業務の棚卸しを行ったあとは、その中で今回の目的に一番インパクトしそうな点を探し、施策を立案します。多くの営業組織で情報共有に無駄が生じているここからは、営業生産性向上の施策の一つしての情報共有について触れていきます。まず最初に営業組織で起きている情報共有の無駄についてお話しします。Docurated社のリサーチによると、営業資料の作成や検索にかけている時間は営業担当者1人あたり毎月25時間以上と言われています。これは1ヶ月の労働時間の15%を占め、労働日数にすると約3日間は資料作成や検索に使っている試算です。これらの全ての時間を削減することは難しいですが、営業資料や情報を共有することで無駄を削減し、労働生産性向上させることが見込めます。営業資料や情報を共有することで営業生産性は向上するさいごに、営業資料や情報共有に具体的にどのような施策が考えられるのか、いくつか例をあげていきます。FAQを用意する情報共有の例としては、FAQを用意することで営業生産性が上げられます。例えば、部下から何度も同じような質問がくる内容をどこかにまとめておき、全員がすぐに確認できるようにするなどです。また、回答がない場合、それの質問と回答をFAQに追加することで、次に同じ質問があった場合、FAQを見ることですぐに完結することができるようになります。複数拠点がある組織や、テレワークなどで物理的に距離が離れている組織だと特に高い効果を発揮します。似たような案件の営業資料の使い回す顧客ごとに提案資料を作成している営業組織も多いと思います。そのような組織の場合、マーケティング部門と営業部門での情報や資料の共有、営業部門内での営業資料を共有化することにより、営業生産性向上が見込めます。ベストプラクティスの共有営業のベストプラクティスを毎朝朝礼や週一回の定例で共有している組織も多いのではないでしょうか。そのようなベストプラクティスの共有会は情報がストックされていないため、いざ必要なシーンで活用することができません。普段のベストプラクティスをストックし、必要なシーンで検索できるように仕組みを構築することで営業の生産性を上げることができます。さいごに営業生産性の向上に関して、方法は一つではありません。ぜひ、様々な視点から営業生産性の向上について考えてみて頂ければと思います。