はじめに組織の生産性を上げるため、ノウハウの共有をうまく行いたいと考えている方も多いのではないでしょうか。ノウハウ共有を進める上で、つまずき易いポイントを事前に把握しておくことが重要です。そこで今回の記事では、組織が直面しやすいノウハウ共有を行う中でのフェーズごとに発生し易い課題をご紹介します。この記事は以下のような方におすすめです。・ノウハウ共有の仕組み化を考えている方・ノウハウ共有を行うにあたっての注意点を知っておきたい方記事の最初にノウハウ共有のメリットとノウハウの種類をお話しし、最後にノウハウ共有を行う上でフェーズごとに発生し易い課題をご紹介します。ノウハウ共有のメリットノウハウ共有を行うメリットは以下のような内容があげられます。属人化の解消ノウハウを共有することによって、「この業務はあの人しかできない」などの属人化の状態を解消することができます。属人化を解消することで、個人に依存しない強い組織を作ることが可能です。組織全体の業務が標準化する例えば、営業組織でAさんとBさんの生産性の差が大きいという問題や、カスタマーサクセスの部門で人により顧客へのサービス説明の内容が異なる、などの業務のバラつきが小さくなります。ノウハウを会社の資産にできるノウハウが共有されていない場合、そのノウハウを保有している個人が定年や転職などで退職してしまうとノウハウも一緒に失ってしまいます。ノウハウの蓄積・共有を行うことで、そのようなノウハウの消失を防ぐことが可能です。働き方改革に寄与する例えば、チームリーダーなどの特定の個人しか対応できない業務が多い、多くの人から個別で同じような質問を何度もされる、なども長時間労働の要因です。全ての業務を標準化することは難しいですが、ノウハウ共有を行うことで業務の分散や質問数を減少することが可能です。結果として、業務削減が実現され働き方改革に繋がります。以上のようにノウハウ共有を行うことで、様々なメリットを享受することができます。ノウハウは大きく3つに分けることができるノウハウにはどのような種類があるのかを、ここではみていきましょう。ノウハウの種類を把握することで、実際に自社の組織で行いたいノウハウ共有はどのようなノウハウなのかが具体的にイメージしやすくなります。①特定の人材のみが保有しているノウハウこのノウハウは特定の人材のみが保有している独自のノウハウになります。例としては、トップセールスの担当者のみが独自に保有しているノウハウなどです。これらのノウハウは言語化されていないことが多く、ノウハウを保有している本人でさえもそのノウハウに無自覚なことがあります。このノウハウに関しては、共有する難易度が一番高いノウハウです。②コミュニティ間で共有されているノウハウマニュアルには落とし込まれていないが、ハイパフォーマー同士や有志の社内勉強会、または営業部の中堅以上が知っているノウハウなど、コミュニティで共有されているノウハウです。言語化はされていますが、組織全体に公開されていない点が特徴です。テキスト化されていない場合や、テキスト化されていてもメモなどの形で個人的に保有しているケースが多いです。例として、ある程度経験のある中堅社員のみが知っているセールスの方法や、チームリーダーのみが知っている顧客対応のケーススタディなどです。これらのノウハウを共有する場合、ノウハウのコンテンツ化とそれらのノウハウコンテンツを誰でも閲覧・活用することができる環境を用意する必要があります。③マニュアルとして落とし込まれているノウハウこちらに関しては、既にコンテンツ化されており、誰でもその存在を知っているノウハウになります。以上のように、ノウハウは大きく3つの種類に分けることができます。ノウハウ共有の難易度として、は特定の人材のみが保有するノウハウ>コミュニティ間で共有されているノウハウ>マニュアルとして落とし込まれているノウハウの順になります。ノウハウ共有で発生し易いフェーズごとの課題ノウハウをせっかく共有しても、他の従業員が実際のシーンでノウハウがうまく使えない、または間違ったノウハウの使い方をしてしまう、といった状態では意味がありません。「ノウハウ共有」が適切に行われている状態とは、従業員が正しいノウハウを正しいシーンで使いこなせる状態です。そのようなノウハウ共有の状態を作る際、ノウハウの蓄積→共有→活用→抽出といったステップを辿り、ノウハウ共有の仕組みを構築していきます。そのステップごとで発生し易い課題を以下にまとめましたので、自社でのノウハウ共有の仕組みを作る際の参考にご覧ください。蓄積のフェーズまずはノウハウの蓄積です。ノウハウをコンテンツ化し、全員がみれる場所に蓄積していく必要があります。この蓄積のフェーズで発生し易い課題は以下になります。発生し易い課題・ノウハウを各々バラバラに保有している・ノウハウを蓄積しない・ノウハウのコンテンツ化ができない・ノウハウを蓄積する場所がない解決策の例・ノウハウ共有の目的を決める・蓄積することをルール化する・目的達成に適したノウハウを集める、またはノウハウ入力フォーマットの作成・社内サーバーやクラウドツールを導入し蓄積する場所を用意する共有のフェーズこのノウハウ共有のフェーズでは、蓄積したノウハウを共有していく必要あります。ノウハウの共有フェーズで発生し易い課題は以下です。発生し易い課題・目的のノウハウを探し出すことができない・ノウハウを共有しても閲覧されない解決策の例・格納先のフォルダの階層設計を見直す・ノウハウが探し易いツールを導入する・コンテンツごとに閲覧履歴が取り、閲覧していない社員に閲覧を促進する・新しいコンテンツを作成した際に通知する活用のフェーズ続いて活用のフェーズです。このフェーズでは、目的のノウハウに関して従業員が探せる状態です。しかし、探せるだけでは意味がないので、従業員がノウハウを「知っている」状態から「使える」状態にする必要があります。この活用のフェーズで発生し易い課題は以下です。発生し易い課題・ノウハウを見つけてもうまく使うことができない解決策の例・ノウハウをアウトプットする機会を設ける(ロープレなど)抽出のフェーズ市場や組織などの環境は常に変化するため、かつて有効だったノウハウが機能しなくなるケースも多々あります。そのような事態に対応するために、有効な新しいノウハウを抽出できるようにする必要があります。この抽出のフェーズでは以下のような課題が発生し易いです。発生し易い課題・ノウハウ抽出ができない・ハイパフォーマーがノウハウを出し惜しむ解決策の例・ノウハウ抽出フォーマットを作成する・ノウハウを出した人間を表彰する・生産性を上げるノウハウ共有を評価する人事制度を導入するさいごにここまでみてきたように、ノウハウ共有を行う上で様々な課題が発生します。これらの課題は、ツールで乗り越えることができるものも多々あります。ノウハウ共有を本格的に行っていきたい組織は、それらの課題を見越してノウハウ共有のツール導入を検討しても良いかもしれません。